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上澤 伸一郎; 柴田 光彦; 吉田 啓之
混相流, 37(1), p.55 - 64, 2023/03
東京電力株式会社福島第一原子力発電所の廃炉工程において、放射性飛散微粒子の発生が指摘されており、その閉じ込め管理が課題となっている。エアロゾル粒子の捕集にはHigh Efficiency Particulate Air (HEPA)フィルタが用いられるが、HEPAフィルタの負荷を軽減するためにスクラバなどの前処理設備の適用が考えられる。スクラバでは、気液界面を介して気体から液体へ移動することによりエアロゾル粒子を除去する。捕集効率は気液界面積に依存するため、高い効率を得るためには気泡の微細化が必要となる。そこで本研究では、ベンチュリ管における気泡微細化現象に着目した新しい粒子捕集技術を開発し、その有用性を確認するため捕集性能評価試験を行った。その結果、ベンチュリ管を用いることにより、捕集性能が直管と比較して1,000倍以上向上し、その捕集効率がHEPAフィルタと同程度であることを確認した。また、関東ローム、SUS、オイルなどの様々な粒子に対して十分な捕集性能があることも確認できた。一方で、液体流量の増加とともに捕集効率は増加したものの、気相流量の増加とともに減少するなど、捕集効率が液相流量や気相流量に依存することが明らかとなった。この原因としては、流量により気泡微細化が活発もしくは抑制されるためと考えられる。本試験においても、気泡微細化現象のパラメータであるキャビテーション数と捕集効率に関係があることが確認されており、気泡微細化現象が捕集性能に大きく寄与していることが明らかとなった。
粉川 広行; 二川 正敏; 羽賀 勝洋; 都築 峰幸*; 村井 哲郎*
JAEA-Technology 2022-023, 128 Pages, 2022/11
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設では、ステンレス製の水銀標的容器内で流動する水銀にパルス陽子ビームを繰り返し入射し、核破砕反応により生成する中性子を最先端科学実験に供する。パルス陽子ビーム入射に伴い、水銀中には圧力波が発生し、圧力波の伝播と容器変形の相互干渉に起因するキャビテーション損傷、特に陽子ビーム入射部の損傷が標的容器の寿命を支配する。圧力波及び損傷の低減対策として、ヘリウムの微小気泡を水銀中に注入する方法を開発し、圧力波及び損傷の低減を実証した。所期の1MWの大強度陽子ビーム下における水銀標的容器の耐久性を向上させるには損傷をさらに低減する必要がある。微小気泡による圧力波低減効果の向上には、水銀中での直径が150m以下である気泡の体積含有率を高めることが求められる。気泡生成器から注入した気泡は浮力による上昇や流動過程での合泡などを起こし、水銀内を流動中に気泡の体積含有率は低下する。気泡生成器の設置位置を損傷が激しいビーム入射部に近づければ、ビーム入射部近傍の気泡体積含有率の低下を防ぐことが可能である。しかし、ビーム入射部に近づくほど、気泡生成器の設置空間が狭く流動抵抗が大きくなるため、冷却に十分な水銀流量の確保が困難になることや、水銀流速の低下により生成気泡径が大きくなる等の弊害が生じる。そこで、標的容器のビーム入射部近傍でより小さな気泡を高い密度で分布できるように、標的容器内部における気泡生成器の形状や設置位置、さらに水銀流動案内羽根の形状に関して機械学習による設計の最適化を試みた。気泡分布を考慮した水銀標的構造の設計では、多数の設計変数を考慮する必要があることから、ラテン超方格法に基づき約1000ケースの設計変数について数値解析を実施し、その結果を学習データとしてビーム入射部近傍での気泡分布(サイズや数密度)が最適になる設計を決定した。水銀の流量は標的容器の温度に、気泡生成器の形状は製作性や生成気泡径に影響を及ぼすことから、これらを制約条件とした。その結果、ビーム入射部近傍で半径が150m以下の気泡の密度を約20%増大できる解を見出した。
上澤 伸一郎; 吉田 啓之
混相流シンポジウム2022講演論文集(インターネット), 2 Pages, 2022/08
福島第一原子力発電所の廃炉工程において、放射性飛散微粒子の発生する可能性が指摘されており、その閉じ込め管理が課題となっている。閉じ込めに必要な排気系における放射性飛散微粒子の除去方法としては、既存の排気設備と同様に繊維フィルタなどが用いられると考えられるが、燃料デブリ切断・取り出し時など、飛散微粒子が高濃度に発生する環境下では、繊維フィルタの目詰まりにより、交換頻度が増大することが予想され、メンテナンス作業の負担や放射性廃棄物の増加を招くことが想定される。そこで本研究では、従来にないメンテナンスフリーの飛散微粒子除去技術として、気泡微細化現象を利用した飛散微粒子除去技術を開発した。気泡微細化現象とは、縮小拡大管内において液中の気泡が瞬時に縮小崩壊し、微細な気泡に変化する現象である。本技術は、この一連の気泡挙動に着目した技術であり、気泡の収縮・微細化による気液界面の変形、気泡微細化による単位体積当たりの気液接触面積の大幅な増加、微細気泡による流れの撹拌、気泡微細化による気泡の滞留時間(液中に気泡が存在する時間)の長期化等の効果により、飛散微粒子の気体から液体への移行を促進し、効率的に気体の微粒子を除去できることが期待される。本報では、この縮小拡大管における気泡微細化現象を用いた微粒子除去技術について説明するとともに、その有用性を確認するために実施した、粒子除去性能評価試験結果について報告する。
高田 弘
JAEA-Conf 2017-001, p.51 - 56, 2018/01
大強度陽子加速器施設(J-PARC)のパルス核破砕中性子源は、エネルギー3GeV、繰り返し25Hz、ビーム強度1MWの陽子ビームで生成した中性子ビームを中性子実験装置で利用し、物質科学の多様な先端的研究を推進することを目的としている。2015年には、1MW相当の陽子ビームパルスを初めて入射し、また、利用運転のビーム強度を500kWに上げた。この中性子源の減速材システムは最適化設計により、(1)濃度100%のパラ水素を使用して高いピーク強度かつ幅の狭いパルス中性子ビームをつくる、(2)直径14cm、長さ12cmの円筒形状を採用し、高強度の中性子を50.8の広角度範囲に取り出すことができる、(3)Ag-In-Cd合金による中性子吸収材を使用し、幅が狭く減衰の早いパルス中性子が得られる。これにより、世界最高強度のパルス中性子ビームを供給する性能を有している。現在、1MWで年間に5000時間の運転を行うという目標に向けて、水銀標的容器前部で生じるキャビテーション損傷を、微小気泡を注入して抑制する技術開発を実施中である。また、2015年に500kWのビーム強度で運転中、水銀標的の水冷保護容器が2回不具合を起こしたため、標的容器構造の設計改良に取り組んでいる。
作花 拓*; Jiao, L.; 上澤 伸一郎; 吉田 啓之; 高瀬 和之
日本機械学会2015年度年次大会講演論文集(DVD-ROM), 5 Pages, 2015/09
二相流解析コードTPFITの気泡流解析に対する妥当性の確認を目的として、燃料集合体内サブチャンネルの形状を簡略模擬した円管流路実験装置を使って、流路内を流れる気泡流のボイド率分布をワイヤメッシュセンサで計測し、解析結果との比較を通してTPFITの予測性能を明らかにした。今回は、隣り合う燃料棒とのクリアランスを一定に保つために燃料集合体内に設置されるスペーサの形状を簡略模擬した障害物を流路内に設置し、スペーサ等の障害物が気泡流の挙動に及ぼす影響を実験的及び数値解析的に評価した。この結果、障害物の存在によって流れが加速されるために障害物周囲でボイド率が急激に上昇することや障害物直後に形成される循環流域に小気泡が巻き込まれて停滞することなど、特徴的な挙動を数値的に解析できることを確認した。
高瀬 和之; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 秋本 肇; 佐竹 信一*
Proceedings of International Conference on Jets, Wakes and Separated Flows (ICJWSF 2005), p.137 - 144, 2005/11
著者らは水や蒸気からなる二相流現象を実験式や構成式を極力用いないで予測する新しい二相流解析手法の開発を行っている。本手法では従来手法よりも大量の計算格子数が必要である。そこで、著者らは地球シミュレータ等のスーパーコンピュータを用いた効率的な大規模シミュレーション法開発や大規模解析データの可視化表示法開発も併せて行っている。本報では、開発中の二相流解析手法を使って予測した将来型水冷却炉の燃料集合体内を流れる気泡流及び液膜流挙動の結果を示す。燃料棒が稠密に配置された将来型炉の燃料集合体において、狭隘な燃料棒間における大規模な気泡の合体・分裂に関する挙動がはじめて詳細に明らかになった。また、スペ-サまわりの液膜挙動の詳細も明らかになり、数値計算によるスペ-サ形状の最適設計実現に対して高い可能性が得られた。
井田 真人
日本流体力学会年会2005講演論文集(CD-ROM), 6 Pages, 2005/09
流体中で音響的に相互作用する3つの気泡の共振周波数と脈動位相について議論し、複数気泡系にavoided crossingが起こりうることを示す。結合振動子モデルを用いた解析により、気泡が3つ以上存在し相互作用する場合には、気泡間距離の関数として示された共振周波数がavoided crossingを示しうることを明らかにする。さらに、気泡の脈動位相と遷移周波数[Ida, Phys. Lett. A 297, 210 (2002); J. Phys. Soc. Jpn. 71, 1214 (2002)]に着目することで、avoided crossing領域において気泡間で明確な状態交換がなされることを示す。この状態交換は、共振周波数には相当しない遷移周波数が共振周波数と交わる点上で引き起こされる。
井田 真人
Physical Review E, 72(3), p.036306_1 - 036306_7, 2005/09
被引用回数:14 パーセンタイル:54.05(Physics, Fluids & Plasmas)音響的に相互作用する三気泡の共振周波数と脈動位相について議論し、複数気泡系にavoided crossingが現れうることを示す。シンプルな結合振動子モデルを用い、気泡が三つ以上存在する場合には、その系の共振周波数がavoided crossingを起こしうることを明らかにする。さらに、気泡の脈動位相と遷移周波数[Ida, Phys. Lett. A 297, 210 (2002); Ida, J. Phys. Soc. Jpn. 71, 1214 (2002)]に注目することで、avoided crossing領域中のある点(そこでは三気泡系の共振周波数と遷移周波数が交わる)において、気泡間で明確な状態交換が行われることを示す。
井田 真人
Physics of Fluids, 17(9), p.097107_1 - 097107_13, 2005/09
被引用回数:16 パーセンタイル:52.83(Mechanics)音場中の複数気泡系が持つとされる特徴周波数「遷移周波数」について理論的に再検討し、その存在の確認と物理的性質の解明を行った。結合強制振動子モデルを用いた解析により、以下の成果を得た。(1)遷移周波数の特性に関する詳細,(2)副遷移周波数が現れる閾距離の理論的決定,(3)相互作用力の符号反転に関する簡易な解釈法,(4)二気泡系における自然周波数,共振周波数,遷移周波数の類似性と差異の明瞭化。この試みにより、「複数気泡系には共振を引き起こさない遷移周波数が存在する」というわれわれの主張がより確かなものとなり、また、遷移周波数の物理的効果及び相互作用力の符号反転における役割がより明確なものとなった。
高瀬 和之; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 秋本 肇; 青木 尊之*
第24回日本シミュレーション学会大会発表論文集, p.161 - 164, 2005/07
著者らは二相流計算に特有の実験式や構成式を極力用いないで原子炉内の水や蒸気の挙動を正確に予測する解析手法の開発を行っている。本報では、革新的水冷却炉に用いられる稠密燃料集合体内の複雑な水-蒸気系二相流挙動を、地球シミュレータ等のスパコンを利用した大規模3次元シミュレーションによって予測評価し、狭隘流路を流れる気泡の流動に及ぼす流路壁の影響や燃料棒表面を流れる液膜に及ぼすスペーサの影響などを定量的に明らかにした。今研究によって、大規模シミュレーションを主体とした炉心熱設計手法の開発に対して高い見通しを得ることができた。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*
ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム(HPCS 2005)論文集, P. 16, 2005/01
燃料集合体内の二相流解析には従来から二流体モデルが使われているが、二流体モデルはすでに特性が解明されている範囲での平均的かつ巨視的な現象に対してのみ有効であり、気液二相流を特徴づける非定常な界面構造を予測する機構論的な解析法とは言い難い。そこで、著者らは地球シミュレータ等のスパコンを利用して相変化や流動遷移などの複雑な過渡現象を含む二相流挙動を直接的に解析する手法の開発を行っている。本報では、革新的水冷却炉を例として行った検証解析結果について述べる。稠密に配置された燃料棒間の流路形状を簡略模擬した体系で大規模二相流解析を行い、(1)微細な気泡は下流へと移行しながら合体し、次第に成長する,(2)合体により気液界面が大きく変形し、それに伴って気泡周囲に複雑な速度場が形成される等の3次元的な気泡流のダイナミクスを再現できた。予測結果の傾向はモデル実験結果とよく一致しており、大規模シミュレーションを主体とした炉心熱設計の実現に大きな見通しを得た。
小瀬 裕男*; 高瀬 和之; 吉田 啓之; 叶野 琢磨; 秋本 肇
第18回数値流体力学シンポジウム講演要旨集(CD-ROM), 6 Pages, 2004/12
原子炉における冷却材の複雑な伝熱現象や相変化を含む混相流挙動に関する物理的メカニズムの詳細を数値的に解明し、また、原子炉燃料集合体をフルサイズで模擬した体系下で熱流動挙動の詳細を計算機上に再現することを目的として、地球シミュレータ等を利用した大規模シミュレーション技術の開発を行っている。本報は、技術開発の一環として行った将来型水冷却炉内二相流挙動の3次元予測結果について述べる。本提案の解析手法によって、狭隘流路を有する将来型水冷却炉の燃料集合体内の3次元水-蒸気分布の詳細を数値予測できる見通しを得た。また、気液界面の二相流構造,気泡の合体・分裂メカニズムに関して有益な知見を得た。
吉田 啓之; 永吉 拓至*; 玉井 秀定; 高瀬 和之; 秋本 肇
Proceedings of 4th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS-4), p.264 - 269, 2004/12
稠密燃料集合体内の二相流挙動を解明するために、界面追跡法による二相流解析コードを開発している。本解析コードでは、座標系としてデカルト座標系を用いている。燃料集合体内には円筒である燃料棒やスペーサなどが存在するため、燃料集合体内の二相流の流路は非常に複雑な形状をしている。このため、解析においては複雑形状を直方体の計算セルで分割する必要がある。そこで本研究では、解析コードの複雑体系への適用性を確認するため、燃料集合体を模擬した体系内の単一気泡挙動についての解析を実施し、既存の実験結果と比較した。その結果、実験で見られた気泡のらせんあるいはジグザグ運動が解析により再現され、また、気泡の上昇速度などについても実験と一致する結果が得られた。
小瀬 裕男*; 高瀬 和之; 吉田 啓之
Proceedings of 1st International Forum on Heat Transfer (IFHT 2004), p.199 - 200, 2004/11
著者らは稠密燃料集合体内の二相琉挙動の詳細を大規模シミュレーションによって明らかにする研究を行っている。本報では二相流挙動の内の気泡流を対象にして行った大規模シミュレーションの結果を示す。解析条件は次のとおりである。正方形断面を有する3次元鉛直流路内を常温,常圧の水が流れる。初期条件として約600個の微小気泡を流路内に発生させた。境界条件は、流路入口での水の流速は0.5m/s一定、流路出口は一様流出、流路壁面は80C一定、全ての壁で流速は0とした。パラメータは、気泡径,正方形断面の寸法及び流路長さで、それぞれ0.2-2mm, 1-10mm, 25-250mmの範囲で変化させた。一連の解析の結果、一辺が10mm以下の正方形3次元流路内を移行する大規模気泡群の合体と分裂に関するメカニズム,合体・分裂挙動に及ぼす加熱壁面の影響,合体気泡の成長挙動などについて有益な知見が得られた。
井田 真人
Proceedings of 6th World Congress on Computational Mechanics in conjunction with 2nd Asian-Pacific Congress on Computational Mechanics (CD-ROM), p.1 - 11, 2004/09
音響的に相互作用する2気泡系に存在することが理論的に予言された特徴周波数「遷移周波数」を直接数値シミュレーションにより検証した。近年、Ida[Phys. Lett. A 297 (2002) 210]によってその存在が予言された遷移周波数のうちの幾つかは、共振周波数とは異なり共振反応を伴わずに気泡の脈動位相を反転させる。より最近の報告「Ida, Phys. Rev. E 67 (2003) 056617」では、この特徴周波数が気泡間相互作用力の方向を決定していることが示唆された。本研究ではこれらの理論的予測を、表面張力項を含んだ圧縮性ナビエ・ストークス方程式に基づく直接数値シミュレーションによって検証する。得られた計算結果は理論的に予測された特徴周波数の存在をはっきりと示している。
玉井 秀定; 冨山 明男*
日本機械学会論文集,B, 70(692), p.50 - 57, 2004/04
鉛直円管内未発達気泡・スラグ流の各種支配因子を従来の知見,実験結果及び物理的根拠に基づいて現象論的にモデル化した。気泡形状は球体積等価直径に応じて、4種の形状に分類した。液相速度場を介した気泡接近・合体過程を模擬するため、大気泡後流速度場モデルを導入した。小気泡運動に及ぼすせん断誘起乱流と小気泡誘起乱流の影響を考慮した乱流速度変動モデルを構築した。気泡合体は確率的事象とみなし、相互作用する二つの気泡のサイズに依存した気泡合体確率により評価した。構築した三次元One-Way気泡追跡法により未発達気泡・スラグ流の流動様式空間発展を良好に予測できる。
玉井 秀定; 冨山 明男*
日本機械学会論文集,B, 70(692), p.58 - 65, 2004/04
前報で提示した三次元One-Way気泡追跡法の予測制度を検証するため、流動様式・ボイド率・差圧の時空間発展に関して実験結果と計算結果を比較した。その結果、構築した大気泡後流速度場モデルにより、二つの大気泡の接近過程を良好に予測できることを確認した。また、管入口における気泡径分布・気泡管断面内位置及び小気泡合体確率に適切な値を用いれば、未発達気泡・スラグ流の流動様式,平均ボイド率,ボイド率変動,径方向ボイド率,平均圧力損失,圧力変動の空間発展を静止水・層流・乱流の各流動条件において良好に予測できる潜在能力を本手法が有していることを検証できた。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*; 玉井 秀定; 秋本 肇
Transactions of the American Nuclear Society, 89, p.88 - 89, 2003/11
筆者らは低減速軽水炉の炉心内二相流特性を直接解析による大規模シミュレーションによって解明する研究を行っている。熱の影響がない非加熱等温流条件に対して、低減速軽水炉の炉心条件をもとに燃料集合体入口流速,ボイド率等をパラメータとして一連の解析を行い、次の結論を得た。(1)小さな気泡が合体して成長した大きな気泡は、一度壁に接触すると表面張力により壁表面に沿って下流へと移動する。(2)大きな気泡は大きくなりすぎると気液界面に生じるせん断力によって小気泡に分断される。(3)炉心三角ピッチ配列の中心領域は燃料棒間狭隘部に比べて流動抵抗が低いため、大きな気泡は次第に三角ピッチ配列の中心領域に凝集しながら下流へと移動する。(4)スペーサ領域で大きな気泡は多くの小気泡に分断され、その結果スペーサ後流の水平方向のボイド率分布は均一化される方向にある。(5)低減速軽水炉における気泡の運動は流れ方向への直線的な移動が支配的であり、ボイドドリフトの影響BWR炉心よりも小さい傾向にある。
渡辺 正; 海老原 健一
JSME International Journal, Series B, 45(3), p.600 - 606, 2002/08
上昇気泡のシミュレーションを格子ボルツマン法により行い、合体分裂時の気泡界面積の変化を数値的に測定した。単一気泡については上昇速度が実験相関式によるものと一致することがわかった。また、気泡形状の振動と界面積の増減が対応することを確認した。二つの気泡を上下に配置すると、下の気泡の上昇速度が大きく上の気泡に追いつくことにより合体することが示された。合体時には界面積は減少し、その後、合体気泡の変形により増加することがわかった。また、合体後に分裂を起こすケースでは、分裂時に界面積は大きく増加し、その後減少することが明らかとなった。
坂本 幸夫
KEK Proceedings 2001-14, p.236 - 242, 2001/06
日本原子力学会の放射線工学部会の関係者では5グループが遮蔽計算コードによりJCO臨界事故時の敷地内外での中性子強度、スペクトル及び線量(率)の評価を行っている。これらのグループ間の評価結果特に臨界時の出力に違いが見られる。この原因を明らかにするために、各グループ間での計算条件を比較した。この結果、建家の壁材及び天井材である軽量気泡コンクリートの密度及び含有する水分量の取り扱いに大きな差が見られた。事故調査委員会の事故シナリオによる臨界状態の出力を再現する軽量気泡コンクリート中の水分量は0.050.10g/ccである。また、250m~1,700mの線量(率)実測データと計算値の距離に対する傾向がほぼ同じであることを確認した。